Vol.44 リハビリテーション分野における論文の書き方

論文を書くということ

しかし、いざ書こうと思って、スラスラ書ける天才でない限りどのように書いて良いのか分からないのが普通である。

私も書きたいと思っても手つかずであった。

論文発表(蜂須賀研二)

何冊か論文の本を読んだ中で、一番分かりやすかった日本義肢装具学会誌で蜂須賀研二先生が書かれた「論文発表」を自分が投稿しようとしている研究に当てはめてまとめてみる。

①何を伝えたいか
②その論文形式は何にするのか
③その論文の新しい知見はあるのか
④既にこのような論文はあるのか
⑤既にその内容を自分で書いたか
⑥対象となる読者の専門職種や分野は何か
⑦どの雑誌に投稿するのか

① 得られた研究成果のどこが魅力的であり、どの点を論文化するのかまず考えること。

私の場合は、片手のみで排泄動作を行っている脳卒中片麻痺患者様のバランス能力を下肢Brunnstrom stage別に数値データとして表すこと。これまで、片麻痺の方がどうようにズボンの上げ下げ(下着の上げ下げ)を行っているのか、さらに麻痺の重症度別に戦略が違っているのか分かっていない。

原著論文、症例報告、総説などがある。

原著論文

科学論文の中でも、最も一般的な形式。

以下5つの段階を踏まえて論文を形成すること

1 臨床的なあるいは、基礎的な疑問点を示し、何を明らかにするか仮説を立てる
2 何を対象としてどんな方法で仮説を証明するのか示す
3 どんな結果が得られたのか
4 結果を支持する証拠、反対する証拠を示し、結果を解釈する
5 仮説の解答

症例報告

臨床医学の基本、症例報告の積み重ねにより臨床医学が発展してきた。
通常1症例、もしくは少数の症例を対象とする。

以下の条件を満たす物が受理されやすい

1 珍しい疾患や障害があり、これまでの報告は少ないもの
2 一般的に了解されている状況とは異なる展開となったもの
3 新しい治療が有効、有害であったもの

総説
私は、あまり理解できなかったが、重要な問題に関して、多くの論文を網羅して批判的に検証しその問題の解答を示すものとのこと。

新しい知見がなければ原著論文とはなりえない。

私の場合は、まず日本では排泄動作のバランス能力を取り上げた論文、文献すら少なく、基礎情報として不足しており、目安となる基準を設けてあげることは有用であると感じている。(つまり基礎研究(観察研究)である。)

ここで基礎研究と応用研究について述べる(個人的な考え含む)

基礎研究(観察研究)とは、簡単に言ってしまえば、介入研究以前の基礎的な情報量(データ数)を増やすような研究である。
リハビリの分野では、基礎研究を飛ばし、すぐに応用研究(介入研究)を行おうとするが、これは間違いである。

「すぐ、リハビリの先生は比較しようとするーーー。」と近藤和泉教授が言っていた。

「もっと基礎研究(基礎研究)に重きを置かないといけない」とも言っていた。

あくまで、少数で全体を推し量っているので、もっとデータ数を多くしないと、EBMなんて無理なのかなと思う。

文献検索するのだが、和文、英文に関してのリサーチの仕方はまた、次回説明する。

私の場合は、ほとんど皆無。

二重投稿は厳しく制裁される。付け足し論文にも注意。

付け足し論文とは、症例数を5例増やして再検討したなど。

私の場合は、初めてなので問題なし。

対象となる読者が医師、理学療法士、作業療法士、義肢装具士、福祉関係者か

私の場合は、作業療法士>理学療法士かな。

それぞれの雑誌には基本的編集方針があり、主たる読者は誰か、どの領域の論文を受理するか定めている。書こうとする論文のテーマと内容により、雑誌を選択することが重要である。

論文の書き方

http://www.igaku-shoin.co.jp/mag/toukodir/rihabiri.html  総合リハビリテーション

http://www.igaku-shoin.co.jp/mag/toukodir/rigakuj.html 理学療法ジャーナル

http://www.ishiyaku.co.jp/magazines/cr/submit.aspx  JOURNAL OF CLINICAL REHABILITATION

http://ess.jstage.jst.go.jp/contrib/ejpts/initialsubmission/-char/ja  理学療法科学

文献の検索方法

統計学のその他の記事

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