Vol.206 パーキンソン病の再考⑥ 認知機能
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「型」を守って書く。僕が記事を書く際に意識していることだ。一方で「型」を決めると個性が出にくいという意見もある。しかし「型」というのは単なる形式ではなく論理的に考えるための道筋、手順なのだ。型通りに書く人は、始めはうまくいかなくても徐々に上達する。話の中でも「型」は大切だ。何かを尋ねられたとき、「私はNOだ。多くの人はYESという。しかしそれは3つの点で間違っている。まず1点目は・・・、2点目は・・・、3点目は・・・。よって私はNOだ」。と"問題提起"から始まり"意見提示"、"展開"、"結論"の順で話をすすめていく。「型」は次第に「個性」に変わり「文は人なり」に近づくはずだ。

本日は、パーキンソン病(以下,PD)における認知機能障害について共有する。

こんな経験はないだろうか?

「PD病患者のリハビリは即時的には学習の効果がみられるが次の日は全く元に戻ってしまう。」

しかし、「結論」
「学習の上達速度が健常者と比べて遅いが知的機能が保たれていれば学習効果は得られる。」のだ。

そもそも大脳基底核は、系列運動の学習すなわち、試行錯誤しながら試みた運動が適切であったか評価し、次第に最適な運動を学習する(強化学習)。

PDで障害されない
日常の記憶(エピソード記憶)、
意味記憶(日本の首都は東京だ)。

PDで障害される
新規な運動スキルの獲得、
正確度を向上させる学習過程、
③あいまいな状況下で確率的な判断をさせる学習過程。

①:新たに獲得した手続き記憶を保つことが困難(主に前頭前野ループの障害)。
②、③:予想される行動結果や実際の行動結果に対する情動反応低下(主に前頭前野、辺縁系ループの障害)。

情動反応扁桃体を中心とした辺縁系との関連が指摘されている。
つまり前回の記事のBraakによる病期分類stage3で情動認知が低下が始まり、その結果、恐怖や嫌悪の表情認識なども低下すると言われている。

前回記事URL :http://ameblo.jp/nolook7/entry-11434988977.html

以前、岐阜脳卒中リハビリテーション研究会のcongratulations坪井氏に当院で行なっていただいた勉強会の中でも、期待される報酬量と実際に得られた報酬量の差がドーパミンの放出となり、運動の習慣化に役立つことや私達の対応策などをお話ししていただいた。リハビリの中でもドーパミンを放出させる工夫が必要です。

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学習が遅延する理由として挙げられるのが、学習初期ではなく(さほど健常者と変わらない)、学習後期記憶や予測情報に基づく最適な運動の選択と言われています。

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PS患者に、1つのボタンが光り、そのボタンを押す課題では健常者と比べて時間に差はなかったが、次に16個のボタンのうち、2個が光り(2個のボタンは正しい順番で押さなければ次に進めないという仕掛けをしてある)、そのボタンを押す課題を行なった。結果は健常者と比べて時間は大きく遅くなった。前者は視覚座標系の系列を学習し、後者は運動座標系の系列を学習していることが分かる。このことからも運動座標系の学習がPD患者は時間がかかり苦手ということが分かる。

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様々な報告からPD患者でも学習効果はゆっくりではあるが期待できることが報告されており、新たな運動や複雑な動作を訓練させるときには、十分な時間をかけ緩徐していくのを焦らず見守る姿勢が大切であることが分かる。

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次回から運動療法をまとめます。

PTジャーナル(2013.01号)

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http://www.igaku-shoin.co.jp/journalDetail.do?journal=35331

「第24回PTジャーナル賞」の発表が本誌の中でありました。

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