講談社
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高校バスケットボール部主将だった男子生徒が男性顧問から体罰を受けた翌日に自殺した問題が最近テレビで取りあげられている。思えば僕が高校生だったころは、部活動の強豪チームは多少の体罰は当たり前だったと記憶している。その当時の個人的な意見からすれば、それは決して間違いではなかったと感じている。その当時の監督がいたから強豪チームと試合が出来ていたのも事実だし、多少殴られるのも覚悟でその高校に進学した。しかし、ここ十年足らずで学校教育は大きく変わった。「ゆとり教育」などの詰め込み教育からの脱皮で生徒と先生の関係も良い意味でも悪い意味でも縮まった。大切なのは教育方針の変化に合わせて先生も指導方法を変えていくことではないかと感じる。リハビリ分野でも実習生の実習態度や精神面での脆さなど、これまでと同様の指導方法では学生達もドロップアウトしてしまう。現に実習期間中にこの職業を諦めてしまう生徒も増えていると聞く。
「ではどのような関わり方が適切なのだろうか?」
私達が必要なコミュニケーション能力とは何なのかを考える良い機会をいただいた。
この本は良書である。
是非、読んでいただきたい。
昨今、「コミュニケーション能力」というキーワードはどの分野でも大切といわれ、企業の人事担当者が採用にもっとも重視した能力として「コミュニケーション能力」は9年連続 NO.1である。
しかし、「コミュニケーション能力とは何か?」と問われたとき、しっかりと答えられる人は少ない。
さらに「リハビリテーション分野におけるコミュニケーション能力」とは何かと考えてみても私も考えがまとまらない。
医療職に必要な能力も本書のなかに少し書いてあった。
「医師や看護師というのは、昔は病気や怪我を治してあげれば、患者からも家族からも感謝されたいい商売でした。でも今は、医療が高度化しすぎて”治す”ということ自体が、医者自身にもよくわからなくなってしまった。患者さんや家族の気持ちも複雑だ。一分一秒でも長く生きたいのか、痛みを緩和したいのか、家に帰りたいのか、家族と一緒にいたいのか、一人になりたいのか。さらにそういった気持ちも一人に一つではない。それらをできる限りくみ取れないと医療行為にあたれないという時代になっている。」
二症例 提示します。
一症例目
「胸が痛いです」と訴える患者
あなたならなんと言いますか?
標準的な看護師なら「どこが痛いんですか?」「いつから痛いんですか?」などと問いかけると思います。
しかし、能力の高い看護師なら「ああ、胸が痛いんですね」とまずオオム返しに答えるようです。ただの繰り返しに過ぎないのですがこれが一番患者さんを安心させるらしいです。おそらくこのことによって看護師さんは「はい、私は今、あなたに集中していますよ。忙しそうにみえたかもしれませんが今、あなたに集中していますよ」ということをシグナルとして発しているのだと考えられます。
二症例目
ホスピスに入院している50歳の男性で"余命は半年"と宣告されています。奥さんは24時間つきっきりで看護しています。
この患者さんに解熱剤を投与するのですが、なかなか効きません。
奥さんが看護婦さんに「この薬、効かないようですが?」と質問します。
標準的な看護師なら「これはこういう薬なのだけど、こちらの他の薬の副作用でまだ効果があがりません。もう少し頑張りましょう。」と言うでしょう。
奥さんはその場で納得はしますが、翌日も同じ質問をします。また看護師は丁寧に答えます。それが毎日1週間くらい続きました。丁寧に説明している看護師も嫌気がさしてきました。ナースステーションでも「あの人はクレーマーなんじゃないか」と問題となってきます。
そんなある日、ベテランの医師が回診に訪れたとき、奥さんは同じ質問をしました。
ベテラン医師は一言も説明せずに、
「奥さん、辛いねえ」と言いました。
奥さんはその場で泣き崩れましたが、二度とその質問はしなくなったそうです。
要するに、奥さんの聞きたかったことは、薬の効用ではなく、「自分の夫がなぜ癌に冒され、死んでいかなければならいないのか」を誰かに訴えたかった、誰かに問いかけたかったのです。
この二症例から学んだことは「言葉の深さを知ること」の重要性です。これが今の僕にとっての「リハビリテーション分野に必要なコミュニケーション能力」だと考えています。
知識・技術よりも人と関わっていく仕事として一番大切なことだと思います。
今、企業は大きく2つの「コミュニケーション能力」を求めています。
①従来型能力
②異文化理解能力
①従来型能力とは
「上司の意図を察して機敏に行動する」
「会議の空気を読んで反対意見を言わない」
「輪を乱さない」
これは日本社会における従来型のコミュニケーション能力です。
日本人特有の「察する」「口にださない」能力のことを指す。
②異文化理解能力とは
異なる文化、異なる価値観を持った人に対しても、きちんと自分の主張が伝えられる能力
よく考えてみると、この求められる2つの能力は全く正反対のことを言っている。
入社当初、「患者との会話ができない」「病棟ナースに上手く伝えたいことを話せない」などの問題を抱えることは多い。
しかしたいていの問題は「慣れ」が解決してくれる。
ライフスタイルの多様化の中で、大学に入るまで、親と教員以外の大人と話したことがない学生が増えおり、中堅大学では就職に強いのは、①体育会系の学生、②アルバイトをたくさん経験した学生の2つと言われてる。
つまり、「大人とのつきあいに慣れている学生」ということだ。
つまり、あまり大人と話したことのない学生・新人も最初は苦労するが、「慣れの場」を提供してあげれば、徐々に慣れていく姿をこちらはゆっくり温かい姿勢でその背中をみつめてあげればいいのかもしれない。
「慣れ」といった面では、臨床実習中に、レポートではなく経験重視の考え方のクリニカル・クラークシップや客観的臨床能力試験のOSCEといった指導は間違いではないことが分かります。
「慣れ」の場を提供しても改善しない場合の方法はもう少し考えてみます。
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さて、次からは統計学についてまとめていきます。
① 統計を学ぶ前に知っておいて欲しいこと
② 用語の確認
③ 信頼性と妥当性
④ 2群の差の検定
⑤ 相関