Vol.229 第24回「理学療法ジャーナル賞」の奨励賞をなぜ受賞できたのか

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先日、東京で第24回学療法ジャーナル賞の授賞式,および祝賀会に参加させていただきました。これまで片麻痺者の排泄動作能力を継続して研究してきたことが評価され本当に嬉しく思います。編集委員の先生から""理学療法士が排泄動作を検討した点""を高く評価していただきました。

これからリハビリ界のトイレの神様になれるように精進していきます。

この論文にあたり丁寧かつ熱心な御指導、御高閲を賜りました岡西哲夫先生、また研究機器など様々な援助をいただきました大学側、時間のないお昼休みに研究にご協力いただきましたリハビリテーション科の療法士、患者さん、最後に両親、脳梗塞で亡くなった祖父と祖母に心より感謝致します。

これまで行なってきた排泄研究をまとめてみたいと思います。

排泄は人間の尊厳に関わる動作であり、排泄動作の自立は転帰先を決定する上でも重要である。
鴻真一郎,和田名美(2005)脳血管障害患者の退院時トイレ動作自立度の予測因子と転帰.共済医報54.42-45.

トイレで排泄することは、意欲を高め、ADLを向上させる。
Kenji Toba,Ryuhei Nakai,Masahiro Akishita,Setsu Iijima,Masanori Nishinaga,Tamaki Mizoguchi,Shizuru Yamada,Kiyoshi Yumita,yasuyoshi Ouchi (2002)Vitality Index as a useful tool to assess elderly with dementia.Geriatrics & Gerontology International2.23–29.

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脳卒中片麻痺患者の排泄動作とバランス能力の検討 自立群・非自立群を比較して
第19回三重県理学療法学会 1年目 岩田研二 口述

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脳卒中片麻痺患者の排泄動作自立の検討 動作遂行時間、持ち替え回数に着目して
第44回日本理学療法学術大会 3年目 岩田研二 ポスター
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2008/0/2008_0_A3P2083/_pdf

脳卒中片麻痺患者における排泄動作の検討  重心動揺計を用いて
第45回日本理学療法学術大会 4年目 岩田研二 口述
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2009/0/2009_0_B3O1086/_pdf

麻痺重症度分類による脳卒中片麻痺患者の排泄動作能力の検討
第3回藤田リハ関連施設臨床研究会(FRCRC) 5年目 岩田研二 口述 
*優秀発表賞

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麻痺重症度分類による脳卒中片麻痺患者の排泄動作能力の検討
第43回藤田学園医学会学術大会 5年目 岩田研二 口述

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在宅脳卒中片麻痺患者の排泄動作自立者における下衣操作能力の検討
第47回日本理学療法学術大会 6年目 岩田研二 ポスター
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2011/0/2011_Bb1190/_pdf

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在宅脳卒中片麻痺患者の排泄動作自立者における下衣操作能力の検討
PTジャーナル 第46巻 12号 岩田研二 6年目
http://medicalfinder.jp/ejournal/1551102666.html

脳卒中片麻痺患者における排泄動作の遂行時間とバランス能力の関係
第26回東海北陸理学療法学術大会 河村樹里PT
https://www.jstage.jst.go.jp/article/thpt/26/0/26_0_110/_article/-char/ja/

脳卒中片麻痺患者におけるトイレ動作訓練の検討 ― 実動作と模擬動作の比較 ―
第10回東海北陸作業療法学会 渡邉佐知子OT
http://www.secand.jp/abstractdata/2010/1120_tokaihokuriku10/tokaihokuriku10.pdf
p56 演題番号42

脳卒中片麻痺患者における排泄動作の検討 下肢 stageIII に着目して
第46回日本理学療法学術大会 山﨑年弘PT
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2010/0/2010_0_BdPF2029/_pdf

この研究の始まりは1年目のときに担当した片麻痺者が片手でのズボンの下衣操作が自立出来ずに施設入所となったときからです。

それから文献を調べてみますが、対象が当てはまらなかったりと「これだ!」と思う論文に出会えず、「じゃあ自分でやるしかない!」とスタートしたわけであります。

しかし、いざ研究を始めようとしても当院は研究機関でありませんので高価な計測機器もありません。

ですので、①、②の研究はバランススケールであるBBSや患者さんの下衣操作をビデオ撮
影し、臨床後に、にらめっこしながら遂行時間と持ち替える回数を数えるなど、どこの病院・施設でも行なえる評価法を使用し検討してきました。

そこまでで出た結論としては
下衣操作の動作遂行時間と持ち替え回数は排泄動作自立(FIM6)の指標になりうる

歩行も歩行速度で自立が検討されるように、排泄動作自立にも時間因子が関わっているわけです。

さらに深く分析しようと思ったとき重心動揺計を使用し、下衣操作中の軌跡長、健側・患側の荷重比を検討したいと思いました。

そこで無理承知で大学側にお願いをして重心動揺計を使用させていただいたのです。

重心動揺計を使用した研究が③、④、⑤、⑥、⑧、⑨、⑩と続きました。

重心動揺計を使用して出た結論としては
静止立位、下衣操作時ともに、麻痺が重度なほど荷重率は健側下肢優位であり、統計学的にもstage IIIとIV,Vでは有意差が認められた。また、患側機能と下衣操作能力に相関を認めなかったことからも,患側への荷重能力の向上が必ずしも下衣操作能力の向上にはつながらないことが示唆された」。

「そりゃそうだろ」と思った方もいると思いますが、当たり前の事実を自分の病院も当てはまるか研究することが非常に大切だと思います。

私の恩師である岡西哲夫先生が筋力"について40年以上研究してきたように、私も片麻痺者の排泄動作に関してはトコトン追求しようと思います。

先人達のおかげで現在のリハビリテーションはあることを忘れず、未来のためには僕らがやるしかないことを頭におき精進していかなくてはなりませんね。

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私の研究は全て臨床から生まれました。
臨床疑問を研究につなげることをしっかり後輩に指導していきたいです。

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でもふと、「どうして研究を続けてこれたか」を考えてみると一番大きかったことは身内の死(CVA)を経験したことだと思います。

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いつも絶妙のタイミングでやる気スイッチが入るのです。

見ててくれているのでしょうね。

本当に感謝です。

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