先日、リハビリテーション室で全盲の利用者が他の利用者に対してタイ式マッサージをし始めた。確かに、海外旅行のバイブル本である「地球の歩き方 タイ」のタイ式マッサージのコーナーのなかにも、「カノクウェート」という視覚障害者の経済的、社会的自立を目的としたお店が紹介されていたし、元々、マッサージなどは視覚障害者の就労先としても多いことは知っていたが実際に目にしたことはなかったので私も横目で見学させていただいた。このとき、私がもし何かの障害を持ち、生きがいを失っているときに治療にきて欲しい援助者は、何も経験していない健常者よりも、このような苦悩を乗り越えて就労し、お互いの気持ちを共感できる障害者のほうなんだろうなと感じた。
少し前になるが、私の活動先から車で5分のところにある、「プラプラデーン障害者職業リハビリテーションセンター」を見学させていただいた。このセンターは、これまでにJICAシニアボランティアの牧さん(手工芸指導)と青年海外協力隊の山田さん(理学療法士)が派遣されていた。
国際協力の障害支援事業に長年関わっている千葉寿夫さんに教わりましたが、現在タイではエンパワメント法で「障害者の雇用率は1%」と法的に決められており、未達の企業には罰金が課せられるか、障害者を対象とした研修などの支援事業を実施しなければならないそうだ。そのなかで、徐々にではあるが企業でも障害者雇用の動きがみられはじめているとのことで、このような施設の役割も大きくなっていくといいのなと感じます。
アジアの障害者情報は、千葉さんがまとめられた以下のURLに掲載されている。きれいにまとめてくれているので大変助かっております。
① アジア途上国障害情報センター
② 千葉寿夫のBlog
③ タイにおける障害者運動の展開(修士論文)から
プラプラデーン障害者職業リハビリテーションセンター
「目的」
・多施設のモデル施設となる
・障害者の身体的、精神的、社会的なリハビリテーションを促進
・職業訓練の機会の提供
・家族扶養を含めた障害者の経済的自立を促進。
・社会参加と就労を支援
機器はそろっていましたが、見学時には誰もリハビリをしていませんでした。2006年から近隣の高齢者に対するケアも開始しているとのことです。
「入所資格」
・視覚障害者、重度の知的障害者を除く障害者
・年齢14-40歳
・日常生活自立
・聴覚障害の場合、盲学校を終了していること
「生活」
・最大100名
・寮生活
・生活費、生活用具は無料
・1年間の職業訓練
「職業訓練コース」
① コンピューター科
② 皮革加工科
③ 手工芸科
④ 被服縫製科
⑤ 電気科
① コンピューター科
英語の学習、PC基本ソフトの習得などを実施しています。
私が見学させていただいたときには、タイ語のタイプ練習をしていました。
② 皮革加工科
鞄、靴、財布等の製作などを行なっています。
実際に販売も行なっています。このような商品をもっと広めてあげる工夫が必要かもしれません。
③ 手工芸科
装飾品やアクセサリー等の製作技術習得を目指しています。
④ 被服縫製科
洋服の仕立て製作技術習得を目指しています。
⑤ 電気科
電気製品の修理技術習得を目指しています。男性ばかりでした。
このセンターの理学療法士さんに話しを伺うと、およそ50%の人が1年後に就職していくそうです。残りの50%の人は様々な理由で就職できず、家に帰ることが多いようです。またJICAの先輩隊員の活動資料など拝見させていただき、これからの活動のイメージがより具体化できました。
本
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この本は以前もブログで紹介させていただきましたが考えさせられました。
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私には難しい内容でした。あとがきにもあるように「障害学ー理論形成と射程」や「ディスアビリティ・スタディーズ-イギリス障害学概論」などに先に目を通してからもう一度読みなおしたいです。
紹介
同期の青年海外協力隊の有志で「The Great Smile Project 2015」というFacebookページを運営しています。このFBページは青年海外協力隊だからこそ撮れる笑顔を集めることを目的としています。
週に2回程、世界で活動する協力隊が撮影した写真がアップされますので賛同下さい。
https://www.facebook.com/pages/The-Great-Smile-Project-2015/214058255422244
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