少し前になるが、都会の喧騒から離れ、マヒドン大学のサラヤキャンパスに見学に行ってきた。緑が多くてとても落ち着く環境で勉学に集中できそうな環境である。ここではプライマリ・ヘルスケアの修士課程がなんと1年間で取得できる。JICAホームページによると、マヒドン大学のアセアン保健開発研究所(ASEAN Institute for Health Development, AIHD)は、1982年に日本の無償資金協力により「アセアンプライマリ・ヘルスケア訓練センター」として建設され、1986年から2007年にはJICAの技術協力によりプライマリ・ヘルスケアの修士課程が1年間の国際コースとして実施されている。このコースはプライマリ・ヘルスケアに携わる医療職の指導力や管理能力の向上に重点を置いており、世界各国からこれまでに参加した500名以上にのぼる卒業生が、プライマリ・ヘルスケアの発展のために働き、活躍しているそうだ。現在、青年海外協力隊のOVである日本人3名が在籍していた(1名:理学療法士、2名:看護師)。今回は理学療法士のOsamu Watanabe さんに案内していただいた。
私自身、修士を取得する際に海外という選択肢はなかったのだが、渡邉さんにズバリ聞いてみた。
Q:なぜタイで修士を取得しようと思ったのか?
A:タイで研究することのメリットは、学費や滞在費が安い、1年で修了できる、ご飯がおいしくて気候が最高、人が親切など多々あるが、一番はやはり研究フィールドの魅力だろう。マラリアやデング熱などの熱帯医学を始め、日本では経験できない公衆衛生フィールドがタイにはゴロゴロある。HIV、同性愛、薬物、移民問題、感染症、交通事故、人身売買、母子保健、高齢化、社会保障など枚挙に暇がない。自分はこの新興国が今直面している急速な高齢化をテーマに研究を進めてきたが、実際のフィールドでタイのコミュニティが抱えている問題を肌で感じられたことは大きな収穫だった。国が変ってもコミュニティの高齢者達が抱える問題は日本と共通している。今後はアジア全体という枠組みでこの高齢化問題を捉え、それぞれの事情に合わせた提案を国を超えて提示していくことが求められる。その意味で、高齢化で先をゆく日本にとってこの逆境はむしろ大きなチャンス。 日本のかゆい所にも手が届く福祉機器やレンタル制度、リハに特化したデイや訪問等の福祉サービス、これらは新興国の裕福層を中心に今後、大きなビジネスチャンスとなる可能性がある。供給過多が懸念される日本のPTにとって、その職域の拡大は急務。その選択肢の一つとして今後はアジア進出というのがあっても良いかも。ということで、まずはアジア留学をおススメします。
学費は1年間で約80万円
詳しい内容を知りたい人は下記ホームページURLをクリック
http://www.aihd.mahidol.ac.th/eng/aihd_mphm.html
英語が少しできる方なら、日本を飛び越して海外で修士・博士を取得することはメリットも大きいかもしれません。STAP問題で世界から非難されていますが、日本人は細かいことを丁寧に研究する姿勢を持っていると感じます。
海外留学情報
イギリス
伊藤 智典さん
http://rehanavi.com/global/gn_abroad007.php
オーストラリア
三木 貴弘さん
http://www.japanpt.or.jp/members/international/column/
江戸 英明さん
http://ameblo.jp/yume-elephant/
大津 陽子さん
http://sydney-physio.jugem.jp
アメリカ
長谷川 真人さん
http://rehanavi.com/global/gn_abroad009.php
一色 史章さん
http://ryouhousi.com/archives/columns/interview23
日本理学療法士協会HPにも「留学経験のプロフィール」が掲載されています。
http://www.japanpt.or.jp/members/international/abroad_profile/
嬉しい知らせ
県士会で私が以前働いていた病院の後輩が大会長賞を授賞しました。私が特に関わった研究ではありませんが、このような後輩の活躍は本当に嬉しく思います。望木くんおめでとう。
本
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BOPビジネス入門書とあって、分かりやすく解説してくれています。株式会社ヤクルトの話しは勉強になります。
マヒドン大学見学