Vol.281 途上国のトイレから感じる排泄自立の難しさ タイで働く理学療法士
東方見便録―「もの出す人々」から見たアジア考現学 (文春文庫)
斉藤 政喜
文藝春秋
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本では「ウォシュレットがないトイレなんて無理です」なんて言う人もいるが、もし途上国のトイレを見たらどんな反応をするのだろうか?タイの首都バンコクではトイレも洋式化が進んでおり、紙も設置されているところが多く、ウォシュレットの代わりにピストル型ミニシャワーも設置してあり指加減で圧を調整できる。しかし地方では下記写真のようなトイレが一般的である。この本にも書かれていたが方法は以下の通りである。1:右手に水の入った手桶をもち、お尻の下に移動する、2:左手で指を閉じてひしゃくを作り、水をすくう、3:勢いよくかける、4:左手の小指側の側面を立ててお尻を撫でるように下へ掃き捨てる(ワイパー機能)。このワイパー機能を取得するには経験が必要そうだ。うまくできなくてもタイは暑いのですぐに乾くから大丈夫と職場のスタッフが教えてくれた。トレイから学ぶ文化人類学。この本は中国、サハリン、インドネシア、ネパール、インド、タイ、イラン、韓国のトイレ事情が著者の観察、実践、考察から構成されている。日本では在宅復帰の最重要項目といて「1人でトイレに行くこと」が挙げられているが、このようなトイレでは同じようにはいかない。能力的に日本の環境なら自立できるのにと思うことも少なくない。タイでは最近、リハビリパンツのCMが流れているが、トイレの環境整備の方が重要ではないかと感じてしまう。

タイのトイレ

カンボジアのトイレも同じタイプでした。

ラオスの病院トイレ

考察が難しい。
なぜ段差がある。
下の空間に汚物をためているのか?

中国のトイレ

仕切りのないトイレがまだ中国には存在する。排泄行為を恥ずかしいと思わない国民性なのか日本人としてはびっくりしてしまう。日本では落ち着く場所ランキングがあれば、何人かは「トイレ」と答える人がいる気がするが、それは狭い密室であることがキーポイントになるだのだろう。これでは落ち着かない。

ビジネスとしてのチャンス

世界人口のおよそ3分の1に当たる25億人ほどの人は発展途上国を中心に住んでいますが、そうした人々は衛生設備を利用することができません。途上国のトイレに関しては、世界中の科学者や発明家たちが、近代的な衛生設備がまだ導入されていない場所でも使える、環境に優しい新型トイレを開発しています。例えば、中国の会社が開発したのは、人の汚物を処理する電力を得るために太陽光パネルを使用し、下水道での汚水処理を必要としないため、地下水を汚染することがないそうです。

後輩の活躍

日本訪問リハビリテーション協会機関誌第二号に、前職場の杉浦徹氏の投稿論文が掲載されました。タイにいるうちに研究面でどんどん追い抜かさせていきそうですが、後輩の活躍は刺激になります。

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