Vol.307  チェンマイで臨床実習? タイで働く理学療法士

ェンマイの公立病院(スアン・ドーク病院)のリハビリテーション室に入ると、理学療法士より家族や学生の割合が多い印象をうけた。しかしこれがタイの公立病院の現状なのだろう。ほとんどの患者に数名の家族が付いている光景は、タイの家族介護の象徴であり、今日の日本のリハビリテーション室では、あまり見かけなくなった姿ではないだろうか。理学療法士に話しを伺うと、1日50人の患者を4名の理学療法士で担当しており、1人患者あたり、およそ45~60分のリハビリテーション(料金は1回150バーツ)を提供しているとのことであった。療法士が個別に対応できるのは30分程度で、その他は家族や学生が対応している。今回、施設見学のつもりであったが、タイの理学療法士から「せっかく来たのだからやって、やって」とのことで、2人のCVA患者を急遽担当することになりました。

そこで感じたのが、1人で歩くことは可能だが、Back kneeを呈する患者が多いことであった。1人の理学療法士に「下肢装具はありますか?」と聞くと、「下肢装具は機能回復を阻害する」との返答があった。多くのCVA患者の訓練内容をみると、部分練習としてステッピング練習を行なっているが、口頭指示の内容を聞くかぎり、麻痺側下肢に荷重をのせることに重点をおき、患者が今、「何を感じているのか?」「どの部分で荷重を感じているのか?」などの声は反映できていないように感じた。そのため、患者は下肢を棒のように突っ張ったまま、体重をかけることが「良い動作」と認識し、その結果、Back kneeを呈する患者が多いのではないだろうか。

理学療法室

作業療法室

学生の調理訓練

日本と違うのは、タイの学生の臨床実習プログラムには、「必ずしなくてはならない評価」みたいなものがあり、それに調理訓練も含まれているため、利用者が必要としていなくても、学生に調理をする機会を設けているようだ。日本では、自宅復帰後に調理をする機会がある利用者には評価として行うが、学生全員が調理訓練を経験しているわけではない。

病室

トイレ

病室からの景色

この景色をみると、日本にいるような感覚だった。チェンマイに日本人が多い理由が分かった気がした。

インタビュー

インタビュー①
http://1post.jp/2014/10/17/interview66_kaihatutojyoukoku/

インタビュー②
http://1post.jp/2014/10/29/interview66_kaihatutojyoukoku-2/

POSTに「開発途上国リハビリレポーター」の関係者がインタビューを受けた記事です。興味のある方は是非、お読み下さい。

後輩の活躍

論文

回復期退院時の移動手段が車椅子となった脳卒中患者に求められる自宅復帰条件  ─家族の意向を踏まえた検討─

後輩の杉浦徹氏の論文が理学療法科学のHPで公開された。タイの自宅復帰条件の研究はあまりみかけない。能力レベルの問題ではなく、ほとんどの患者がそのまま自宅へ帰らされているからだ。今回の研究内容は日本だから可能なんだと改めて感じた。

全文PDFは以下から
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/29/5/29_779/_article/-char/ja/

奈良介護大賞

中川征士。
一年目でこの活躍ぶり。
これからが楽しみです。

彼の記事はこちら
http://1post.jp/2014/09/11/interview61_nakagawa/

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