Vol.310 高齢化によって増えるサルコペニア  タイで働く理学療法士

発途上国では、栄養の二重苦の問題が深刻化しています。二重苦とは低栄養と栄養過多の問題です。低栄養による飢餓、感染症のリスク増大、一方で栄養過多による肥満に起因するⅡ型糖尿病や循環器疾患が増加しています。

少し前にも「バンコク都民の4人に1人が糖尿病」という記事を目にしました。そして高齢化率が上昇するタイでは、加齢性筋肉減少症(サルコペニアもおそらく今後注目されるはずです。サルコペニアが進めば寝たきり、嚥下障害、呼吸障害になるリスクが高まります。私の活動する施設でもサルコペニアの可能性のある方が多く見られます。加齢性というよりは、栄養不足と活動量の低下が起因していると思います。まずは施設内の現状を把握したいと思います。

障害者ホームのご飯(栄養)

私も半年間、昼は利用者と同じものを食べていましたが、調子を壊してしまいましたので、今はタイ風ラーメンか、チャーハンのようなものを日替わりで食べています。

ほぼ全員、ワンプレート、スプーンで食べます。食事の形態などは考慮されておらず、ムセながら食べている人もいます(タイでは言語聴覚士が少なく、作業療法士がその役割を果たしているが、わずか2000人程度)。何割摂取したのか?水分の摂取量は?などは残念ながらしていません。

第12回ASEAN・日本社会保障ハイレベル会合でも日本の高齢者の食べやすい形状の話し(大塚製薬;あい~と)があったみたいだが、日本以外の国との差がありすぎてしまったのでないだろうか。こんなサービスが浸透するのはいったい、いつでしょうか?

ご飯はこんな感じで作っています。食形態の配慮はありませんが、タイ料理はパサパサはしておらず、スープがつくので、水気が多く、比較的飲み込みやすい印象を受けます。

利用者も普通に職員のように働いています(義足使用)。*職員より働く

時間になると、各棟の代表者(職員ではなく入所者)が食事を調理場まで取りに来ます。入所者の活動量もリハビリテーション室に来れない方などはとても低い状態です。/font>


サルコペニアのアルゴリズム

EWGSOP(European Working Group on Sarcopenia in Older People )

①歩行速度(0.8m/s以下か)
②握力(男性30kg未満、女性20kg未満)
③筋肉量(若年の2標準偏差以下か)

http://ageing.oxfordjournals.org/content/early/2010/05/06/ageing.afq034.full.pdf+html

ただ、これはヨーロッパ人向けでアジア人は直接当てはまらないから、以下が適切です。

http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ggi.12236/abstract

AWGS(Asian Working Group for Sarcopenia)

①歩行速度(0.8m/s以下か)
②握力(男性26kg未満、女性18kg未満)
③筋肉量(DEXA:男性7.0kg/m2、女性5.4kg/m2、BIA:男性7.0kg/m2、女性5.7kg/m2)

ただ、筋肉量を測定する機械がないため、信頼性は低くなるが、周計と皮下脂肪厚を測定していきたいと思います。

タイのサルコペニアに関する研究

① Cut-off points of quadriceps strength, declines and relationships of sarcopenia-related variables among Thai community-dwelling older adults.

こちらは無料でダウンロードできます。

② Prevalence of sarcopenia and associated factors among Thai population.

サルコペニアの有病率は退職前の女性に多い。
男性は加齢に伴い高くなる。
高いBMIや年齢に続き、都市環境が要因である。

私の活動先で使用する評価法
①BMI
②歩行速度
③握力(日本から持ってきたからラッキー)
④上腕・下腿周計
⑤上腕三頭筋皮下脂肪厚

上記を使用し、評価してみます。

リハビリテーションと栄養

後輩が便利なツールを作成してくれました。
これがあれば、自動で計算してくれるのでとても便利です。
無料ですので、是非ダウンロードしてみてください。

http://shiraimizuki.wix.com/home-exercise#!untitled/cac9

細野真宏の数学嫌いでも「数学的思考力」が飛躍的に身に付く本!
細野 真宏
小学館
売り上げランキング: 19,437

情報の本質を見抜くために「思い込む」をしない。常に意識していたいことです。

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事