Vol.315 タイにおける地域在住障がい者の現状① 脳血管障害
社会不満足 ―乙武洋匡 対談
乙武洋匡
中央法規出版
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イの障害者登録人口は138万人(2013年)であり、全人口の約2%である(登録していない人もいるので実際はもっと多い)。15歳以上の就労割合もおよそ30%(2007年)で、公立の障害者の支援施設は約10つ、高齢者施設は12つと全ての収容者数を合わせても数千人程度である。「では、障害者はどこにいるのだろうか?」。答えは、「在宅である」。タイ北部のチェンマイで初めて実際の障害者が生活している環境を見させてもらえる機会をいただいた。日本と環境が違いすぎて、福祉住環境コーディネーターの資格はタイではあまり意味がないと思った。ないものはない。おかれた環境のなかで最適なアイデアを提供する。日本のように介護保険で福祉用具を安価にレンタルでき、通所・訪問サービスが受けられる環境って改めてすごいなと感じた1日だった。

タイハウス

 

症例情報①

70代女性
右片麻痺
7年前に脳梗塞、2年前に右下肢骨折し、それから歩行困難となる。

タイハウス

 

タイハウス

お邪魔したお宅。
高床で木造。洪水や暑さなど熱帯地方のなかで生活するために工夫されている典型的なタイハウス。バンコクでは見ることはあまりないが、まだ、地方ではこのようなハウスを多く見かける。生活空間は2Fとなるため、外出するさいは必ずこの階段を昇降しなければならない。日本では、「これからは1Fに生活空間を移しましょう!」なんてことが言えるかもしれないが、タイハウスでは難しい。

現在、やってもらっている介助方法を確認させていただくと、

 

タイ 家族介護

風呂敷を使用した人介助。
とてもお上手。
本人も慣れているためか、安心している表情。
しかし、これは家族を大切にするタイだからこそできる方法だなと思った。近くに住む5人の子供達が日替わりで面倒をみているとのことだった。その他、更衣動作や足浴などを指導したが、1日だけという時限的な訪問で、どこまで責任をもってアドバイスできるかのライン引きはとても難しいと感じた。

家族構成の変化

 

タイ 高齢化

タイでも日本のように高齢者の独居割合が増えたり、拡大家族から核家族へと移ってきているが、地方では、まだまだ家族、地域の力を感じた。

高齢者の収入

 

タイ 高齢化

年金、政府手当はごく一部でほとんどは、子供の収入頼りとなっていることが分かる。

参考資料
http://www.oppo.opp.go.th/info/Report_OlderSituation2012-EN.pdf

療法士の役割

 

タイ 療法士 役割

イの理学療法士、作業療法士、言語聴覚士を合わせても、10000人に満たない(人口は日本の約半分)。療法士に直接指導してもらえる割合はかなり低いし、都市部に療法士も偏る傾向にある。今回もお宅に訪問できたのも、堀内佳美さんの移動図書館の活動のなかで、「地域の障害者の方に何かできないか?」と話をJICAにふってくれたことで実現したわけで、多くの虚弱高齢者や障害者は、医療従事者にコンタクトすることなく、家族介護で在宅にいることが想像つく。

堀内佳美さん

久しぶりに再会できました。堀内佳美さんが設立したARC(Always Reading Caravan)とは、障害の有無に関係なく子供から大人までタイの農村部に住む人々に移動図書館サービスを提供したり、また山岳族(アカ族、カレン族)にも基本的な言語能力を教えている(動画を見れば活動の内容が分かります)。

前回、お会いしたときの感想はこちらから
http://ameblo.jp/nolook7/entry-11807414073.html

あんなさん

世界一周旅行+ボランティア中の看護師のあんなさんが、今回の訪問のまとめ動画を作製してくれました。流石プロ。ありがとうございました。

あんなさんの世界一周ブログはこちらから
http://morianna.net/

メリークリスマス

利用者さんから、お手紙をもらいました。手紙って本当に嬉しい。私が臨床実習中にもらった患者さんからの手紙も自分の原点だと思ってタイに持ってきている。その手紙をみると、頑張らなくちゃって思える。今回の手紙も大切に保管させてもらいます。

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