Vol.334 入所者のしたいことは叶えてあげたい タイで働く理学療法士



「リハビリテーション=訓練」という誤解はタイでもある。以前、私は週刊医学会新聞のなかで、どのような状況であろうと、個人の「尊厳」の保持・向上を目標としながら「○○をしたい」という感情を引き出すこと、そこにこそリハビリテーションの存在価値があり、国が変われど、まさしく日本語訳のとおり、「全人間的復権(人間らしく生きる権利の回復)」こそがリハビリテーションの価値であると換言できると寄稿させていただいた。先日、日本のリハビリテーション専門医とタイでお話しする機会があったのだが、特にリハビリテーションとは関係のない話しのなかで、「やりたいことは全部させた」という一言に、自分は入所者のやりたいことを叶えてあげられているのか、ふと不安になった。入所から死ぬまで施設で生活する入所者がほとんどの状況だからこそ、私たちがやらればならないことを残りの期間でスタッフに伝えていきたい。

前回のブログで紹介したが、ダンボールで車椅子のたわみ防止を作製した。他にも何か作れないかなと思っていた矢先、私の活動先の管轄省庁である社会開発・人間の安全保障省主催のセミナーで、他のボランティア(織田のブログ)の活動報告のなかで紹介されていたアイデアをいただき、早速作製した。


いつも私が何かやりだすと、興味津々な顔で近づいてきて手伝ってくれるセイム君は、弟のような存在です。本当に感謝。


テーブルができると、いつも車椅子で退屈そうにに座っていた入所者が、「塗り絵がやりたい」と弾けそうな笑顔で言ってきた。とても嬉しい出来事だったので、熱が冷めないうちに、こちらもその日のうちに塗り絵セットを準備。ただ、塗り絵は単純そうで、とても奥が深く様々な点を考慮しなければならない。私の施設で考えられる塗り絵の効果は、ストレス解消、本人の自信につながる、他者からの賞賛をうけやすい、手先を動かすなどがある。塗り絵は失敗感の少ない活動であるが、難しいようなら、少し縁を塗ってあげて難易度を調整してあげることも大切だ。さらに、色を塗ることだけにとどまらず、塗り絵をもとに活動を広げていければさらに良い。みんなで一つ大きな作品を帰国までに作りたい。

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入所者の自発性を引き出すためには、話を聞くことはとても大切。センスではなく技術だと再認識した。

水分補給

施設内にヤシの木があり、仕事中にココナッツジュースが飲めることは幸せ。

初めてタイに旅行に来たときは、こんなまずい飲み物はないと思ったが、徐々に美味しく感じてしまうのが不思議なところ。


歯医者

年に2回、施設に歯医者が来てくれる。虫歯になっていたら歯を抜く。麻酔はかけているとはいえ、丁寧さがなく、見ていて鳥肌がたった。

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