Vol.340  トイレ理学療法士の挑戦① タイでトイレを作る

オムツのなかで用を足したことはありますか?」私はある。病院でオムツで用を足す患者の気持ちを知りたくて、前職場の男性スタッフで体感した(写真)。あの感覚は今でも、忘れることができない・・・。ずっとオムツを当てられている人の多くは、その状態が続くと、尿意や便意を感じにくくなるといわれている。

ウンコ・シッコの介護学
三好 春樹
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三好春樹著「ウンコ・シッコの介護学」のなかの言葉を借りれば、「仮性失認」の状態である。通常感じるはずの感覚が感じなくなるのだ。鳥羽先生らも、「認知症患者はトイレで排泄することでADLは向上する」と報告している。「あなたはオムツをしているんだから、その中にしなさい」となんて言う医療従事者がいるが、オムツのなかで用を足してみることを是非体感してほしい。日本にいるときから排泄に関する研究をしてきたこともあり、私の活動先の障害者ホームでも排泄に関しては、気になる点が沢山あった。その中でも一番大きな問題は、広大な施設内に共有のトイレが存在しないことであり、オムツの中で用を足す、もしくは立ちションベンをする入所者が多いことだった。数少ない従業員では、トイレ設置における衛生管理や、色々な問題点があることは容易に想像できたので、あえて「トイレ設置」に関しては提案はしていなかった。


リハビリテーション室から、各入所棟のなかのトイレまでは遠いので、多くの男性は赤丸部分で立ちションである。「帰国までに何とかしたいなー」と思っていた矢先、突然怪しい「工事」がリハビリテーション室の隣のスペースで始まった。これまでも突然、何かが作られることは、途上国あるあるネタなので、さほど驚かなかった。「何、作るの?」と興味本位で同僚に確認すると、「トイレだ。」と。「ホ、ホントーーーーー」。僕は久しぶりに興奮した。これはとてもチャンスだ。手すりの位置や高さなども提案して、利用しやすいトイレになるようしなくてはと心に誓った。

さっそく、タイに持ってきていた住環境の教科書を引っ張りだしてきて、そこに書いてあるトイレの設計図を見せると、同僚は「もう、ばっちりだ」と言う。「ちょっと待ってろ」と言われ、彼が奥から持ってきたのは、なんと設計図

思った以上に、しっかりしているではないか。便器先端から縦手すりの位置も25㎝と記載があり、もしも、この設計図通りであれば、これまで、私がタイで見てきたトイレの中では、NO1になるかもしれない。ただ、実際にこの工事を施工するのは、私の活動先の職員であり、特に専門家ではないので、大きな期待は禁物だ。

まずは、ブロック積み。

セメントに砂と水を混ぜて、ブロックの表面に塗っていく。

とりあえず、外装は完成。トイレの場所は、リハビリテーション室の隣の物置きスペース。

次は、貯水タンク用の穴掘りだ。私もスコップでお手伝い。

さて、どんなトイレが出来上がるのでしょうか?

この続きは、次回

トイレに関するこれまでの記事は以下

Vol.313 「トイレに行きたい」って聞かない タイで働く理学療法士

Vol.288 オムツの利用者を減らしたい タイで働く理学療法士

Vol.281 途上国のトイレから感じる排泄自立の難しさ タイで働く理学療法士

TED

この二つの動画からも、トイレの重要性、特に公衆衛生の面で考えさせられます。私たち日本人はトイレで用を足すことは当たり前なのでピンとこないかもしれませんが、世界では、10億人以上の人が野原や道端で用を足しているのが現実で、不衛生な環境により、多くの子供が亡くなっているのです。

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【テーマ】 アジアのリハビリテーション事情

【講 師】 岩田 研ニ  SIGNAL(タイ)
      小泉 裕一  開発途上国リハビリレポーター(モンゴル)
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【日 程】 H27.10.18(日)10:00~16:00 (※9:45~受付開始)
【会 場】 刈谷市産業振興センター 3階 306会議室
【定 員】 35名 (残り10名です。)
【会 費】 1000円
【申込み】 SIGNALのホームページ『参加申込みフォーム』より。


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【テーマ】 新しい地域支援のアイデアを考える~タイの高齢者医療・福祉の試みから学ぶ~

【講 師】 榎本 芳人氏 
      渡辺 長氏
      伊藤 弥生氏

【日 程】 H27.9.20(日)13:00~17:30 (※9:45~受付開始)
【会 場】 JICA地球ひろば(国際協力機構研究所内) セミナールーム600号室 
【定 員】 40名 (残りわずか)
【会 費】 一般 2000円 
      JOCVリハビリテーションネットワーク会員 1500円
      リハレポ執筆者 1500円
【申込み】 こちら