「療法士が少ない国では、その代わりは家族なんだ」今回、3つの病院を見学させていただいたが、家族が療法士顔負けに立位訓練や歩行訓練を実施していた。リハ室をみると療法士よりも患者の家族数が圧倒的に多い。この光景はタイの公立病院でも見てきたが、ベトナムのほうが家族の技術レベルが高い印象を受けた。逆に日本も、家族指導にはもっと時間を使うべきだと私的には思う。そしてベトナム人療法士はタイ人療法士よりも患者の身体を治療場面で触っていた。残念ながら携帯電話も触るのだが・・・。ベトナムには、まだ作業療法士、言語聴覚士の資格制度はない。つまり理学療法士などの有資格者が短期研修を受けて、作業療法学や言語療法学を学び実施している。そしてリハビリテーション=訓練という意味合いは依然強い。ベトナムの空港から外に出ると、クラクションの嵐で、街は活気に溢れていた。ベトナム滞在中にあちこちで龍(ベトナムの文化、信仰の中で特別な位置を占めている)の姿を沢山みた。今後、ベトナムは経済成長が予想されている。リハビリテーション分野も昇龍していってWCPTにも早期に加盟できることを願っている。
ベトナム社会主義共和国
面積:32万9,241平方キロメートル(日本の0.9倍)
人口:約9,250万人(2014年時点)
首都:ハノイ
民族:キン族(越人)約86%、他に53の少数民族
言語:ベトナム語
宗教:仏教(約80%)、カトリック、カオダイ教他
通貨:ドン (Dong)
主要貿易品目:輸出:携帯電話・同部品、縫製品、PC・電子機器・同部品、履物、水産品等
輸入:機械設備・同部品、PC・電子機器・同部品、布地、携帯電話・同部品、鉄鋼等
チョーラーイ病院(南部で一番大きな病院で田代STが活動している)見学におけるメモ
① 対象者は頭部外傷、脳血管障害が多い(交通事故が多い)
② 受診者が溢れ、廊下にゴザが敷いている(稼働率は100%以上)
③ 練習メニューがパターン化されている(脳血管障害ならコレ!みたいな)
④ 義肢装具会社が病院へ出張し、装具を作製している
⑤ 嚥下食に対する家族指導書があった
⑥ 職員の月収は15,000円くらい(タイは60,000円くらい)
⑦ 1900年に設立された南部地域を代表する高度医療機関(保健省管轄)
⑧ 診療科・副診療科あわせて65 科、病床約1800床、医師約720名、薬剤師約90名、看護師約1450名、技師約340名、年間外来患者約107万人、入院患者約12万6千人
⑨ リハビリテーション科は、医師5名、理学療法士22名、作業療法に携わる技師4名、言語聴覚療法に携わる技師と医師4名、総勢約35名が所属し、外来患者と臨床患者をあわせて1日あたり約300名の患者の訓練・治療を実施している
リハビリテーション室
JICAの支援も入っているので、機器に関しては充実している。研修施設になっているので、研修生が多数いた。さらに集団体操を外来患者中心にセラバンドを用いて実施していた。
訓練場面
少ししか見学していないので、詳しいことは分からないが、患者は受動的である場合が多かったように感じた。片麻痺患者で膝のコントロールが上手くできていない方も多くいたが、そこに対するアプローチはあまりしていなかった。リハビリテーションの実施時間は1時間ほどである。
嚥下に関する説明書
タイの公立病院でも、家族への食事指導は行えていないところがほとんどだと思うが、チョーライ病院では少しずつ実施している。
教科書
MMTの教科書を発見。英語ではなく、ベトナム語であった。ベトナム人療法士も英語を話せるのは一部の方のみ。
病棟
常に満床で、家族が付き添いで病院内に寝泊まりしている。廊下にゴザを敷いている方も多い。
ベトナムのリハビリテーション事情は以下をご覧ください。執筆者の小竹さん、田代さん、山本さんには、今回の施設見学でも大変お世話になりました。感謝いたします。
① ベトナムのリハビリテーションの現状
② ベトナムにおける療法士教育
③ ベトナムの補装具について
④ ベトナムの住環境について
海外事情に関わる勉強会のご案内
①
【テーマ】 アジアのリハビリテーション事情
【講 師】 岩田 研ニ SIGNAL(タイ)
小泉 裕一 開発途上国リハビリレポーター(モンゴル)
吉田 太樹 開発途上国リハビリレポーター(中国)
【日 程】 H27.10.18(日)10:00~16:00 (※9:45~受付開始)
【会 場】 刈谷市産業振興センター 3階 306会議室
【定 員】 35名 (残り数名)
【会 費】 1000円
【申込み】 SIGNALのホームページ『参加申込みフォーム』より。
以下にあてはまる項目があれば参加をご検討ください。
①青年海外協力隊に興味がある。
②海外のリハビリテーション事情について知りたい。
③将来、海外で働いてみたい。
④療法士としての視野を広げたい
☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆☆
②
【テーマ】 タイでの経験を通じて感じたASEANと日本の可能性(仮)
【講 師】 岩田 研二
【日 程】 H27.10.09(金)20:40~21:40
【会 場】 ウインク愛知(1008号室)
【会 費】 2000円(残り数名)
【申込み】 こちらまでご連絡ください。
☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆☆★☆☆
本
NHK出版
売り上げランキング: 50,031
英語の勉強になると思い購入。細かいニュアンスは難しいですが、比較的読みやすかったです。