第28回東海北陸理学療法学術大会の大会誌から吉尾雅春先生の記事を抜粋します。
理学療法士になってただ人の話を聞くだけで主張できなかった私は、23歳の時に毎年、学会で発表すること、学会場で必ず質問すること、研修会でも必ず質問することを自分に課して、他者に対して自身の意見を堂々と言える人間になることを目指しました。5年後、それまでとは明らかに違う私がいました。
昨年、才藤教授も同じようなことを言っていた。
「とにかく5年間、一生懸命に頑張れ、そうすれば道は拓く」と。
理学療法士となり5年が過ぎた。
さあ、どうだ。
知れば知るほど分からなくなっていた。
いつ「専門家」になれるのだろうか??
潜在を顕在にする道はまだ続く。
職場の後輩にも、とにかく5年は頑張ろうと言っている。
5年後何も見えなかったら
「転職しよう」と言ってあげたい。
今後30年以上続ける仕事、5年間で適正ではないことが分かったことが収穫であろう。
認知症について知っているようで知らないことは山ほどある。
以前に書いた記事。
最近、読んで勉強になった本を紹介。
ソフトバンククリエイティブ
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認知症の人の不可解な行動についてその理由が分かりやすく書かれている本。下記の基礎知識も本書の中に書いてある。
認知のベースとなる記憶の仕組み
記憶の学習モデル
記銘 → 保持 → 想起
符号化 → 貯蔵 → 検索
*認知症になると、一度に多くの情報を処理できないため、想起・検索が難しくなる。情報量は極力少なくする。
記憶の認知モデル
情報はまず感覚登録器に一時的に保持され、そこで注意などにより選択された情報が短期貯蔵庫に入力され、一定期間保持される。そしてリハーサルを受けた情報は長期貯蔵庫へ転送され、永続的に貯蔵されることになる。
記憶の脳・神経モデル
作動記憶(前頭前皮質)→短期記憶(海馬と周辺領域)→長期記憶(脳各部)
*長期記憶が保たれやすいのは、脳の各部位に分散されて貯蔵されているから。
参考URL
http://www5f.biglobe.ne.jp/~mind/knowledge/cogni/cognitive004.html
認知症の4分類
A アルツハイマー型病 50%以上
B 脳血管性認知症 20%
C レビィー小体型病 10%
D 前頭側頭型認知症(ピック病) 10%以下
*アルツハイマー型と脳血管性認知症の複合型も多い。
特徴
アルツハイマー型病
①必ず言い訳をする
レビィー小体型病
①側頭葉と後頭葉の萎縮と活動量低下
②驚くほどリアルな幻視
③スイッチのオンとオフが突然切り替わる
→後頭葉の萎縮→第一次視覚野が障害→見えていないものを認知→リアルな幻視
前頭側頭型認知症(ピック病)
①前頭葉と側頭葉の萎縮
②若年性認知症に多い
→前頭葉の萎縮→抑制がきかない。
→側頭葉の強い萎縮→言語障害と運動障害
現在、日本で使われている認知症薬は以下の4種類です。
①塩酸ドネペプジ(製品名:アリセプト)
②臭化水素ガランタミン(製品名:レミニール)
③塩酸メマンチン(製品名:メマリー)
④チバスチグミン(製品名:リバスタッチパッチ、イクセロンパッチ)
①軽度から重度 アセチルコリンを分解する酵素の働きを阻害する。
②軽度から中等度 分解酵素の働きを阻害し、受容体も増強。
③中等度から重度 レビィー小体に有効。グルタミン酸の放出を抑制
④軽度から中等度 貼付薬。分解酵素の働きを阻害。
①と③に薬の併用がアメリカでは標準治療。
その他、読んだ認知症に関わる本。
リハビリの際の対応などにおいてもとても参考になります。
痴呆の人達が、どのような世界をみているのかが少し分かります。
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もっていなければいけない本。
近藤和泉先生に紹介していただいた本。
すぐに実践できることが多い。
繰り返し(オウム返し)技法はオススメ。
常識で考えては起こりえないことを人々は奇跡と言う。いつもなら30分も座れない人が連続8時間も座れた。僕たちはあれも駄目、これも駄目と言ってその人の潜在能力を消してしまっているかもしれない。その人にとって一番好きなことをさせてあげることが特効薬なのかもしれない。
評価において過小評価はしていけない。
ありがとう。