日本ではオリンピックが盛り上がっているが、タイでは全く放送されていない。「浅田選手の演技に感動しましたね」とタイ人に話しかけても「ん??今、オリンピックやってるのか??」といった具合だ。彼らの多くは、オリンピック=金持ち国のお祭りとしか思っていないようだ。選手も出場していないし、国としても代表選手に日本のように多額の強化費用があるわけでもない。途上国ではオリンピックに無縁な国が多いんだと実感し、少し切ない気持ちになりました。パソコンでオリンピックの結果をみていると、「〇〇選手が転倒」などの記載に目がとまる。転倒にはポジティブな転倒とネガティブな転倒が存在すると考える。今回のフィギアスケートの浅田選手やスノーボードの女子パラレル大回転の竹内選手などは果敢に攻めたポジティブな転倒の代表であろう。ではネガティブな転倒とは何なんだろう。私の活動先では、残念ながらほぼ毎日転倒事故が起こっている。日本で働いていた私からすれば、「ありえない」と感じることばかりだが、職場のスタッフからすれば「しかたない」となる。この状況を少しでも改善すべく対策案を考えてみたい。
転倒の一番の要因は「職員の観察不足」が挙げられるが、スタッフ数を考えれば確かに仕方ない部分はある。それよりも移動手段が正しく選択させていないことが転倒につながっていると感じる。
「そりゃ転ぶのは当然でしょっ」と思う場面が多いのだ。
具体的にはその立位バランスなら歩行器が適切であると思っている人が独歩で歩いていたりする。
転倒要因は立位バランス以外にも、認知障害、薬物、コンプライアンスなど多岐にわたるため、立位バランスのみで評価するには注意が必要であるが、入所時にリハビリ助手が身体評価(口頭で確認する程度)をするときがあるので、その際にある程度の移動手段を決めることが出来ないかと考えた結果、以前からお世話になっている近藤和泉先生が作成されたSIDE(
standing test for imbalance and disequilibrium
)の使用はシンプルで職員教育にも使いやすく分かりやすいのではないかと考えている。先生の許可をいただいたので、タイ語に翻訳中です。
Level 2a
閉脚立位を5秒以上保持できる
(つぎ足立位は5秒未満)
つぎ足立位を5秒以上保持できる
(一側のみ)
Level 3
両側ともつぎ足立位を保持できる (5秒以上)
各レベルにおける転倒危険度は,2a>2b>1>0>3>4の順になると考えられる。このことを知っているだけでも注意して観察をしなければならない利用者を選択しやすいですよね。
SIDEの詳しい内容は、以下の情報をご覧ください。
あとは、KYT(危険予知トレーニング)などをスタッフとやっても面白いかもしれませんね。名前の通り、危険を予測するトレーニングです。上のイラストを見て、どんな危険が潜んでいるかを考えます。私も前院のリハビリ部門の新人研修で、KYTトレーニングを教材として使わせていただきました。10個以上は言えましたか?みんなの回答を確認すると、こんな所にも目をつけていたのかと驚かされることもあります。
しっかりと観察をして、判断が良い方向に集束していくようになればいいと思います。
転倒に関わる本
Cambridge University Press
売り上げランキング: 3,181
この2冊は膨大な資料からまとめておられますので大変参考になりました。
下記をクリックして他の青年海外協力隊員の活動内容を覗いてみてください。