Vol.289  障害者の敵(てき)はだれか? タイで働く理学療法士

上国では""社会モデル""の理解はまだ乏しい。APCD(アジア太平洋障害者センター)でのワークショップでは、「impairment+Barrier=Disability、impairment+Barrier Free=Non Disability」という障害の社会モデルがキーポイントとなった。社会モデルを簡単に説明すると「変わるべきは個人でなく社会である」という主張である。もう少し詳しく説明するなら「障害の克服の責任を負うのは個人ではなく、社会が""できない""という問題を解決するための責任と負担を負う」ものだ。この動きは障害者の当事者運動によるものが大きい。日本脳性麻痺者協会「全国青い芝の会」の行動綱領にこう書いてある。「我々が脳性麻痺者であることを自覚したとき、そこに起こるのは自らを守ろうとする意志である。我々は強烈な自己主張こそ、それを成し得る唯一の路であると信じ、且つまた行動する」。何事も行動しないと変わらないということだ。敵は己と環境ということだろうか。とてもパワーをいただけた研修会であった。


APCD(アジア太平洋障害者センター)

http://www.apcdfoundation.org/


施設見学

建物も各国のお手本となるように様々な工夫がされています。
例えば、写真のように階段の手すりにも点字ブロックがついています。

併設された宿泊施設でも様々な工夫がされていました。
写真は聴覚障害のかたのために、フラッシュのような光で合図をするもの。
その他、バイブレーションを使用したりと工夫がされています。

参考本

車いすがアジアの街を行く (地球選書)
車いすがアジアの街を行く (地球選書)

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二ノ宮 アキイエ
ダイヤモンド社
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これまでにAPCDが何をやってきたのかが解説されている。
障害者当人の様々な苦労も書かれていて、自分の思考の甘さに気付けた。
学生時代に読みたかった本の一つです。

障害学のリハビリテーション―障害の社会モデルその射程と限界
障害学のリハビリテーション―障害の社会モデルその射程と限界

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川越 敏司 星加 良司 川島 聡
生活書院
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深いです。そして難しいです。
障害の社会モデルに関して様々な切り口から解説している。

ICF(国際生活機能分類)の理解と活用―人が「生きること」「生きることの困難(障害)」をどうとらえるか (KSブックレット)
ICF(国際生活機能分類)の理解と活用―人が「生きること」「生きることの困難(障害)」をどうとらえるか (KSブックレット)

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上田 敏
きょうされん
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ICFは深い。
この本は入門編としての位置付けである。

高齢者のフレイル(虚弱)とリハビリテーション (MB Medical Rehabilitation(メディカルリハビリテーション))
高齢者のフレイル(虚弱)とリハビリテーション (MB Medical Rehabilitation(メディカルリハビリテーション))

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全日本病院出版会
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リハビリテーション医学会で一番売れた本です。
お世話になっている近藤先生が編集主幹を担当しました。
参加者に聞くところによると「フレイル(虚弱)」、「サルコペニア(筋肉減少症)」あたりの発表が多かったようです。

執筆依頼

某ジャーナルから「タイの理学療法 現状と今後」のお題で執筆依頼を受けました。今年中に同じようなテーマでどこかの雑誌に投稿しようとしていたので大変嬉しいです。しっかりまとめたいと思います。

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