Vol.306  これから持続可能な介護事業 タイで働く理学療法士

私の活動は2年間という時限的な活動である。そのなかで老子の「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教える」方法で、援助を受ける側の自立を目指している。しかし、ボランティアには世の中を大きく変えることができないのも事実ではないだろうか。支援者は無料で援助されている限り、そこから何かを学ぼうとは思わず、最初は「ありがたい」と感謝するが、徐々に援助慣れしてしまう。そして援助側がいなくなれば、「ゼロ」に再び戻ってしまう。本書のなかにも書いてあるが、「点」としての志を、確かな「線」にしていくには、ビジネスしかない。残りの1年間で可能性を模索したい。タイでの医療・福祉市場は医療ツーリズムや高齢化問題があり拡大しつつある。主には富裕層をターゲットとしたビジネスだ。そして多くのタイ人はリハビリテーションも含む医療サービスを満足に受けることができず、地域で生活をしている。タイ人が求めているのは、おそらく貧困層から中間層向けの高齢者施設などである。一見、ビジネスとして成り立たせるには難しい層であるがアイデア次第なのかもしれない。

施設の入所費用を減額するシステム

家族がもしくは入所者が職員としてその施設で働いたり、価値のある商品を作製し販売しお金を稼ぐ。リハビリテーション職種が適切に評価をし、「この方は1人で歩くことはできないが手先はとても器用」など、その人にあった仕事を与えることができるかもしれない。実はもうすでにこれに近いシステムを導入しているナーシングホームがタイには存在し、実際に入所費を割引している。このシステムにより、今までは富裕層しか利用できなかったサービスを貧困層や中間層が受けられるようになる可能性がある。また元気なうちから施設入所費を貯蓄できる制度構築も重要である。

リエイ(タイ)

お知り合いに同行し、以前から見学したかったリエイさんを訪問。海外に進出している介護福祉事業においてタイではとても有名である。詳しくは書けないが、色々な情報を教えていただけた。

伝えたいこと
① 差別化としては、吸引などの簡易な医療行為ができるスタッフ(nurse aid)がいること(注射は不可)
② 学校の生徒数は、FTA凍結で日本で働くことができるようになれば需要は増えてくることが予想される
③ 日本式のサービスを分かってもらうためには、とても時間を要す。

THANARA ACADAMY

Nurse aidの資格を6ヶ月で取得できる学校。全てのサービス込みで59000バーツ(約180000円)。

教室の横には実習ができるように、日本のベッド(パラマウント)とタイのベッドがおかれている(タイのベッドは高さ調整不可)。吸引機もおかれていた。

車椅子も日本製とタイ製の車椅子が比較できるようになっている。しかし日本式は利用者には喜ばれるが、介助者に理解してもらうには時間を要すみたいだ。

LTOP プロジェクトサイト訪問

LTOPのプロジェクトサイトを見学させていただいた。タイにおける将来の政策対応に関し政策提言を行うことを目標にしている大きなプロジェクト。現在、JICAで募集がでている場所だが、とてもやりがいのある活動先であることは、関わっているタイ人の雰囲気をみても間違いない。とても素晴らしく、何とかしなければという気持ちが伝わってきた。リハビリテーション機器は揃っているし、お寺が隣にあることもメリット。

ほぼ毎日更新されているLTOPのFacebookページはこちら↓

https://www.facebook.com/jica.thailand.ltop

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