Vol.314 ミャンマーのリハビリテーション① タイで働く理学療法士

りの飛行機に乗る際に、砂埃にまみれた革靴をみて、「数年後に来たらこんな風にはならないかもしれないなー」と少し寂しさがのこった。ミャンマーは数年前まで鎖国政策をとっていたため、外国からの物質や情報の流入が厳しく制限されており、国際電話も禁止されていた。マクドナルド、スターバックスコーヒーもまだない。コカコーラを飲めるようになったのも最近の話だ。まだ日本の戦後賠償によって作られたものが多く残り、半世紀前から時間が止まっている。しかしここ数年で劇的に状況が変わろうとしている。建設途中のショッピングモールやホテルが点在し、渋滞もバンコクを上回る勢いである。公立病院の設備もこれから劇的によくなるのだろう。ミャンマーから目が離せない。

ミャンマーの理学療法士事情

写真:ミャンマーの国立リハビリテーション病院の理学療法士と私。

Q:ミャンマーに理学療法士はいるの?

A:約1000人(実際に理学療法士として働いているのは5~6割)

Q:理学療法士にはどうすればなれるの?

A:国家試験はなく、大学の卒業をもって、資格を取得できる。4年生大学が条件だが、最初から理学療法科に入るわけではなく医療技術大学の中に、理学療法学科、放射線技術学科、臨床検査技師学科などがあり、2年生に進級する前に、試験があり、その成績によって、上位者から希望の学部へ進学できる。一番人気は放射線学科のようだ。

Q:作業療法士、言語聴覚士はいるの?

A:いない。養成校がない。

Q:養成校は何校?

A:3校(大学2つ、軍人用1つ)。男女比としては、女性が多い。

Q:給料はいくら?

A:月120000リキッド(約12000円)
(NRHのセラピスト情報)

Q:ミャンマーの医療制度ほどうなってるの?

A:大きく3つの省庁が関わっている(保健省、国防省、労働省)。

保健省管轄の医療制度では、コストシェアリング方式と貧困層に対する無料医療が提供されている。コストシェアリング方式の内容としては、政府系医療機関を受診した際に、診療は所得に限らず無料、入院は承認制で無料に、検査(X線やCTスキャン)や医薬品に関しては有料という方式が取られている。貧困層については、すべての医療サービスが無料となっている。

国防省管轄の医療機関では、軍人とその家族がすべての医療サービスを無料で受けることができる。

労働省下の社会保障委員会が管轄する医療機関は、事業主負担による社会保険方式で運営されており、対象となる事業主や労働者はすべての医療サービスを無料で受けることができる。

Q:高齢化はすすんでるの?

A:60歳以上の高齢者は約10%、さらにその内の10%が虚弱高齢者とされている。高齢者に対する政策はまだ未整備である。

参考資料

①平成25年度新興国マクロヘルスデータ、規制・制度に関する調査 ―国別詳細版―
http://www.meti.go.jp.cache.yimg.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kokusaika/downloadfiles/fy25macrohealthdate/macrohealthdate.pdf#search='%E3%83%98%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF+%E6%96%B0%E8%88%88%E5%9B%BD'

②ミャンマープレゼンテーション
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000064122.html

久しぶりの再会

養成校時代、いつも適当なことを言いまくっていた小山とミャンマーで再会。全然、久しぶり感がありませんでした。これからもお互い刺激しあっていきたいと思います。そして私の現在の活動先(タイ)の前任者である作業療法士の大塚先生には、大変お世話になりました。さらに私の養成校時代でお世話になった教授の先生方や、講師の先生にも会えて、エネルギーをもらいました。

後輩の活躍

後輩が監督をつとめた「LOTTE SWEET FILMS」の第一弾「class work」(主演:花坂椎南)が公開しました。「突然、高校に進学せずに就職する!」と言い出した娘とそれに反対する父親の心温まる物語です。LOTTEガーナミルクチョコレートさんとのコラボ作品になっています。頑張ってるなー。

海外情報

海外に興味をもつ療法士が増えてきています。表面的な情報だけではなく、もっと中身が知りたい人も多いと思います。そこで、世界の現場で活動している療法士のブログを中心にまとめました。現在12カ国、18名のセラピスト(理学療法士:15名、作業療法士:2名、言語聴覚士:1名)の皆様にご協力して頂いております。是非、多様な価値観をお楽しみにください。また、この他にも、海外で活動している療法士のブログを知っていたらご連絡ください。

こちらから
http://rehabili.jimdo.com/海外ブログ/

国立リハビリテーション病院(NRH)は次回のブログで紹介します。

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