Vol.347 「介護離職ゼロ」のための課題

聞かなくなった「助け合いの精神」

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「助け合いの精神」という言葉。最近では、災害後にしか、なかなか聞かなくなった。「タイにいた2年間で、一番学んだことは何ですか?」。日本帰国後、このような質問をよくされる。私は、「タイ人から自助・互助の大切さを学びました。」と答えている。タイの医療資源は、日本と比較すると、はるかに不足している。私の活動していた障害者ホームでは、入所者480名に対して、介護職員は25名しかいなかった。そんな環境も影響を与えていると思うが、入所者同士で、生活を助け合い、支えあっていた。障がい者の生活のお手伝いを、障がい者が行っているのである。日本も昔はそうであったのではないだろうか?戦後の経済成長のおかげで、日本の社会保障制度は整備されていった。それによって多くの人々が救われた一方で、人間が生きていく上で大切な「自助・互助」の部分の比重が低くなってしまったのではないだろうか?安倍首相が打ち出したアベノミクス「新三本の矢」の一つに「介護離職ゼロ」が掲げられている。そのなかで、特別養護老人ホーム(特養)の増設を行うようだが、特養を増やし、介護職員を増やすだけで、この問題は解決されないだろう。介護を受ける側も、「助け合いの精神」をもう一度思い出し、「自助・互助」のマインドを持たない限り、明るい未来はないのかもしれない。介護職員は今よりもっと少なくできるはずだ。他国からみたら十分に足りている。外国からわざわざ介護労働者を呼び込む必要はないのだ。

タイの「助け合いの精神」

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タイの障害者ホームでは、入所者が、みんなで助け合い、支えあって生活していた(介護職は口頭で指示を出す程度)。2年間、生活を見てきて、どうして日本は、「介護職員の不足問題」が起きているのかを考えるようになった。日本が、介護職員が足りないと感じるのは、単に介護を受ける人が増えているので、それに合わせて介護職員を増やす考えがあるためだ。私は、介護を受ける側のマインドの問題が重要だとじゃないかと思う。自分の健康に関心を持ち、できることは自分でして、他者が出来ないのであれば、自然と助けてあげる。受動的になる必要性は何もないのだ。

左上:全盲の入所者(歩いている)を車椅子で誘導する入所者。

左下:洗濯なども入所者が中心となり実施

右上:マッサージを行っている方も全盲で全く目が見えないが、マッサージを行い、チップを貰っている。

右下:食事の準備も入所者が実施(調理場には入所者がいる)。

その他、入所者が身体介護まで行っている。

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