Vol.269 グローバル時代に求められるリハビリテーション教育のあり方

国際看護学―グローバル・ナーシングに向けての展開
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ぜ「国際看護学」「国際栄養学」があって「国際リハビリテーション学」がないのだろうか?医療職の中で、看護師の次に多い理学療法士は、世界の人の健康の改善のために貢献することが期待されています。世界では人、物、金、そしてサービスが国境を超える時代となってきました。実際にEPA(経済連携協定)に基づき、外国人看護師が日本の病院に就労したり、ASEAN(東南アジア諸国連合)は2015年に医師、歯科医師、看護師に対してのクロスライセンス(各国の職業資格を相互承認)を認めており、ASEAN各国内であれば制約を受けることなく自由に移動し、仕事ができるようになります。リハビリテーション分野においても、日本には在日外国人が200万人前後おり、2012年のデータで外国人労働者数も68万人と年々増加傾向です。外国人と働くことや、外国人のリハビリテーションを担当する機会が当然増えてきますし、私自身も日本にいた頃、経験しています。「言葉が通じないから担当は嫌だ」では倫理上、済まされない問題です。しかしよく考えてみると、養成校の卒前教育のなかで、国際的な視野を持ったセラピストになるための講義はカリキュラムの中に含まれていなかったと思います。多様な価値観、宗教、文化を踏まえどのように異文化コミュニケーションをとっていけばいいのかを教えていく必要があると感じます。理学療法士数において日本は世界でNo.1となっており、世界を牽引していかなければなりません。私自身もこれから努力を重ね、少しでも世界の健康改善に貢献し、青年海外協力隊の経験を教育現場で伝えられるようにしたいと思います。

以前、Blogにて理学療法士として青年海外協力隊に参加したい方へで、これまでのリハビリ職の派遣実績などは書かせていただいた。しかし、実際の現場で、先輩隊員が具体的にどのような活動をして、どのような課題に直面しているかまでは分からなかった。

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そんな中、以前読んだ上記の本書のなかに、国内のリハビリテーション専門家養成課程では、グローバルな活躍を視野に入れた人材育成が不十分であると明らかにしている(2007 中嶋)。という内容があり、全文がどうしても読みたくて、前職場のスタッフに無理をいって取り寄せていただいた。非常に参考になることが多かったので共有します。

グローバル時代に求められる社会福祉教育のあり方
-青年海外協力隊員の意識・実態調査を元に-


関西総合リハビリテーション専門学校 中嶋 裕子 先生

本論文で看護師、理学療法士、作業療法士、義肢装具士、養護教諭、介護士へのアンケート調査で分かったことを簡単にまとめます(2005年)。

伝えたい POINT

① 看護師が50%を占める(理学療法士は20%)。
② 経験年数は90%以上が10年目以内。
③ 65%が病院内での医療・リハビリテーション(今は地域主体なので割合は変わっているはず)に関わっている。
④ 直面した課題として50%以上がこれまでで得た知識と現場でのギャップを感じている(特に現地の人との価値観の相違)。
⑤ 養成校で国外の状況や様々な価値観、トラブルが起きた時の対応などを考える機会を設けているのは20%弱と低い。
⑥ その20%の中身も、妊婦死亡率や乳幼児死亡率などの表面的知識に留まっている。
⑦ リハビリ養成校への学生アンケートでは国外でのリハビリテーションに関心があるのは60%と高い。
⑧ リハビリ養成校への学生アンケートでは途上国からリハビリテーションに関する協力要請が高いことを知っているのは約30%と低い。

特にの部分を詳しくみてみると以下のような課題が書かれていた。

④  直面した課題として50%以上がこれまでで得た知識と現場でのギャップを感じている(特に現地の人との価値観の相違)。

言語

① 指導を行なうときに細かい事柄が伝わらない。

リハビリテーション観

① 患者の立場が非常に低く、患者の最善のためという価値に乏しい。
② 患者の立場で考え行動する者は少なく、高圧的で思いやりに欠けた対応が目立つ。
③ 医療従事者としてのプライドは高く、自己主張はしても指導、アドバイスを聞かない。
④ 医者も患者の社会的背景は理解しようとしない。
⑤ 文化の違いからリハビリテーション概念が異なり、共通意識を持てない。
⑥ 自立の概念が狭い。

宗教観



① 障害は前世の行いが悪かったためだと考える社会であるために、正しい障害者観を持つ人は医療従事者にもほとんどいない。
② 神が望めば回復する、人間も病気、死も神様次第という考え方から、リハビリテーションの目標も患者自身で考えようとしないし、医療従事者も自分の努力や責任とは考えない。
③ 最善と思われる治療よりも伝統医療のほうが重視される。

行政

① 患者、障害者やその家族を支援するシステムが存在しない。
② 保険制度は整っていないため、患者に処方箋を出しても金銭の理由で治療を受けることができないケース、継続できないケースもある。

リハビリの養成校の卒前教育の中でも上記のような課題に対する解決策を学ぶ機会を取り入れていくべきではないだろうか?実際に、タイに派遣される前に訓練所で異文化を体験できるゲーム(Bafa Bafa)を行いましたが、とても参考になりました。

Bafa Bafaについて
http://www.jca.apc.org/unicefclub/unitopia/1999/bafabafa.html

http://aska-r.aasa.ac.jp/dspace/bitstream/10638/2779/1/0001-030-199111-239-249.pdf#search=’BAFABAFA++ゲーム’

国際コラム タイの高齢化問題と理学療法

日本理学療法士協会HPに第二回コラムが掲載されました。

http://www.japanpt.or.jp/members/international/column/column_thai_iwata/

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