Vol.352 訪問リハビリテーションに必要な知識・技術とは②?
途上国では、「目」と「耳」と「手」がとても大きな役割を果たす。私が、タイの障害者ホームで活動していたとき、利用者の医学的情報の少なさに驚いた。日本の病院で働いていたときには、前院からの退院サマリーがあり、患者に会う前から、ある程度の状態を把握していた。さらに、CTやMRIの画像も共有されており予後予測もある程度できた。しかし、活動先では、情報が少ない上に、手書きのタイ語でサマリーが書かれていても、解読できず、よく分からない。おそらく「連携」という言葉は、タイには、まだ浸透していない。医師もいない、看護師もいない、障害をもつ入所者が480名もいる。しかし、医学的情報がない。こんな状況に置かれた私は、フィジカルアセスメントの大切さをタイでとても感じた。そして現在、訪問リハビリテーションに従事しているが、同じようにフィジカルアセスメントの大切さを感じる。病院では、バイタルや血液データなども管理されているが、訪問先で、「今日は、なんかいつもと様子が違うぞ」と思っても、自分しかいない。その徴候を把握し、最低限、患者の緊急度を見抜く能力はとても大切である。例えば、利用者の爪を見たら、ばち状指だった。どんなことが考えられるだろうか?

ばち状指から何が分かるのか?

バチ指

ばち状指とは、手指が太鼓のばち状に変形した状態である。爪の付け根が盛り上がり、写真のように、その角度は180度を超える。

簡単なテスト

バチ指

左右の人差し指の爪を合わせる。爪の間に「ひし形」の隙間ができれば正常。一方、ばち状指では、ひし形ができない。

どんな疾患が疑われるのか?

ilm09_dd02003-s

慢性の呼吸不全
うっ血性心不全
肺がん
その他:

臨床に役立つテクニック 呼吸数

あいうえお

① 1秒で「アイウエオ」を言えるようにする
② 1回の呼吸の間に何回アイウエオが入るかを数える
③ 60をその回数で割るとそれが呼吸回数

脈拍を測るときにでも、この「あいうえお」は使えますよね。最近、誤差がだいぶ少なくなってきました。
引用:おだん子✖︎エリザベスの急変フィジカル

「なぜ」を真剣に考える

なぜ?

訪問に従事する療法士に限らず、なぜ足が腫れるんだろう?、なぜ胸が痛くなるんだろう?なぜ息苦しくなるんだろう?などの疑問は臨床をしているとよく抱く。しかし、自信をもって答えられる人は10パーセントもいないのではないだろうか?その日に感じた疑問を、その日に調べる癖をつければ、それが習慣となる。これを繰り返すと、数年後に調べていない人と大きな差が生じるはずだ。

訪問リハビリテーションに従事する療法士向けの記事

フィジカルアセスメントに関する本

フィジカルアセスメント ガイドブック―目と手と耳でここまでわかる
山内 豊明
医学書院
売り上げランキング: 19,532
生活期リハ・訪問リハで役立つ フィジカルアセスメント リスク管理ハンドブック
阿部 勉 石川 美緒 大越 満 大西 康史 大沼 剛 大見 喜子 小暮 和歌子 瀬崎 学 竹谷 晋ニ 恒川 幸子 椿 淳裕 戸津 喜典 中沢 明美 中村 若菜 原 毅 張替 徹 平原 佐斗司 松下 明美 宮島 達也 宮田 昌司 山口 勝也 山中 愛子 山村 充教 鑓水 理恵子 吉松 竜貴
合同会社gene
売り上げランキング: 140,479

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事