Vol.372 アジア健康構想で日本の介護業界は変わるのか?(理学療法士の役割とは)

東京オリンピックの会場に関する話題が連日、メディアを賑わしている。日本が、来日する観光客にどのような「おもてなし」をするか世界が注目している。安倍首相は2020年に4000万人の訪日外国人観光客を目指すと宣言している。その他、外国人労働者の受け入れ促進を明言しており、近い将来、日本の介護分野に外国人が今より増えることが確実となることが、先月、参院本会議で、与党と民進党などの賛成多数で可決され、成立した。実際、EPA(経済連携協定)は、上手くいっていないし、技能実習生においても、失踪問題など、課題は山積みである。一時的な観光客だけでなく、多文化共生社会にむけて、労働者が気持ち良く生活し働ける「おもてなし」の心が、今求められている。

押さえておきたい3つのポイント

① すべての外国人が介護士として働けるチャンス

これまでは、経済連携協定(EPA)を締結している3カ国(ベトナム、フィリピン、インドネシア)の出身者のみ、介護福祉士の国家資格取得を認めてきたが、この縛りがなくなり、他の外国人でも取得可能となる。だからと言って、日本語の国家試験を受けるには、かなりの時間、日本語を勉強していない限り難しく、飛躍的に合格者数が上がるとは思えない。

② 技能実習制度に「介護」が加わった

技能実習制度とは、国際貢献のため、開発途上国の外国人を、一定期間(3〜5年)受け入れて、技能を移転する制度。終了後は、原則、母国に戻って、経済発展に貢献しなければならない。これまで、介護分野は含まれていなかったが、来年から入ることが決定した。

③ アジア健康構想により、日本式介護を海外へ推進

アジア諸国の高齢化に伴い、市場は拡大している。高齢化の大先輩である日本のノウハウを日本式介護という形で、日系企業の福祉用具やロボットと一緒に輸出することが可能となるのかもしれない。日系企業が多く、アジア地域に進出すれば、現地リーダーとしてEPA、技能実習生で介護の勉強をした外国人の働き口として期待できる。しかし、アジア健康構想は、国・地域の伝統、文化、宗教等の相互交流と理解、尊重の上に成り立つことは忘れてはいけない。
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引用:http://this.kiji.is/109568259358606840

アジア健康構想とは?

 

質が高いと定評のある日本のケア技術や施設経営のノウハウを広め、今後深刻な高齢社会となるアジアで高齢者が安心して暮らせるよう基盤を整える。理学療法・作業療法士・言語聴覚士がアジアの高齢化やそれに伴う認知症の高齢者の増加に対して、運動指導などで、どれだけ関わっていけるのとても関心がある(詳細はこちら)。

様々な議論がされている

 

アジアの新興国などでは介護のインフラが未整備で、単独で進出するのは限界がある。政府を後ろ盾に日本型介護のパッケージ輸出を目指すらしい。まず今夏、ベトナムやモンゴルに日本語研修施設を設立。モンゴルとは正直意外。パッケージでやられると、なかなか中小企業が入ってはいけなくなっちゃうね。

本当の目的は「日本語」習得

実際に、技能実習を終えて、母国に帰国したベトナム人は、「覚えた技術は使い物にならない」と明かしている。日本の仕事は分業制だが、ベトナムではそうではなく、大半の工程をまかなう。これは、リハビリテーション職種で例えるなら、理学療法を日本で学んだが、母国では、理学療法、作業療法、言語療法、すべてを一人で行わないといけないため、あまり意味がないというわけだ。日本でロボットリハについて学んでも、途上国にはロボットがまだリハ分野に普及していないと同じように(ちなみに、リハビリテーション職種の技能実習制度はない)。実際に、技能を生かせるのは、3割程度にとどまっているという。2017年11月より、日本語の条件を満たせば、最長で5年、日本に滞在できることになる。「日本語」ではなく「専門技術移転」がこの制度の目的である。両国にメリットがあるようにと切に願う。

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