トイレでの排泄ができなくなると意欲が低下し、寝たきりが深刻化する。実際、病院でも、オムツになってから認知症がひどくなったとか、元気がなくなったなどの話はよく耳にする。この話しは、ヴィクトール・E・フランクル著の「夜と霧」の中で、強制収容所の被収容者が、クリスマスから新年の間に大量の死者をだした内容と被る。クリスマスにはお家に帰れるという希望を持っていたが叶わず、落胆と失望が体の抵抗力にも影響を及ぼしたという内容だ。置き換えると、トイレで排泄したいと思っていたが、それが叶わなかったとき、「生きていることに、なにも期待がもてない」ということになってしまい、これまで出来ていたことが、急にできなくなってしまったりするのだ。私はこれまでにオムツの排尿体験を何回か行ってきたが、いまだに体位によっては、排尿開始までに時間を要す。できれば、誰もが下の世話にはなりたくない。そうならないためにも、排泄ケアに対する評価は非常に大切だ。特に排泄障害を有する方が、排尿日誌を記録することで、多くのことがわかるので、ぜひ一度、記録してみることをオススメする。
Contents
事例検討
アセスメントの視点
蓄尿についての情報を整理、分析する。2.排尿について
排尿についての情報を整理、分析する。
3.考えられる問題
1,2をもとに、推測される問題を示す。
4.さらに必要な情報
問題を明らかにするために、他にどのような情報が必要か整理する。
アセスメント例
1回排尿量は200〜300ml。膀胱容量に問題なし。
2.排尿について
排尿困難の訴えもなし。夜間は排尿回数5回と頻尿であるが、残尿は少なく、
膀胱に尿を貯められないことはない。
3.考えられる問題
夜間頻尿(5回)。やや多尿(2400ml)。
4.さらに必要な情報
就寝前の水分摂取量の確認、内服薬の確認(利尿作用ないか)、食事量や種類、
家族歴の確認(糖尿病の有無など)、就寝環境の確認(室温・湿度)、既往歴、基礎疾患。
排尿日誌の目的
排尿日誌の記録内容
記録するのは、排尿時刻(排尿時間)、一回排尿量、失禁の有無と量、尿意切迫感・残尿感などの自覚症状、水分摂取量と摂取時間など。
①1日の排尿パターン
②失禁の原因
③1日の水分のイン・アウトバランス
④治療(薬物療法、手術療法、理学療法など)の効果、ケアの効果(膀胱訓練、排尿誘導、間欠的自己導尿のタイミング・評価など)
排泄日誌記録の注意点
私も排尿日誌を記録してみた
計量カップを握りしめ1日記録してみると、排尿回数、排尿パターン、排尿量やおよその膀胱容量などがよく分かる。2,000mlくらい排尿すると思っていたが、実際は、排尿量1,100ml(1回あたり250〜300ml)、排尿回数4回と思っていたより少なかった。以前行ったリリアムを使用した残尿測定でも、尿意を感じるときは、300ml程度だったので、今回の結果と同様であった。皆さんもまずは自分の排尿記録を!!
第52回日本理学療法学術大会 部門企画セッション
幕張にて開催される第52回日本理学療法学術大会でも、ウィメンズヘルス/メンズヘルス部門として、以下の講演が企画されている。
排尿ケアに関する職種間連携と理学療法の可能性
日時:2017年5月12日金曜日 15:30-16:30
講師:吉川羊子医師(小牧市民病院泌尿器科排尿機能センター)
これまでにまとめた排泄関係の記事
排尿自立指導料についてはこちら
(作業療法士が追記されました)
トイレに関するこれまでの記事
本
排泄リハビリテーション-理論と臨床
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第三回スタディーツアー募集開始
日時:6月24〜28日(ホテル4泊)
参加費:70,000円
募集人数:10名(残り5名)
今回のツアーの目玉は、タイ古式マッサージを学べるところだ。
途上国などの医療を語るうえで、「伝統医療」は切っても切り離すことができず、特に田舎に行けば行くほど、重要な役割を果たす。
そこで今回、タイ王国第一級王立ワットポー寺院伝統医学校で外国人唯一の認定講師・宮原由佳先生にも特別にご一緒していただく。
その他、医療ツーリズムを受け入れている私立病院、ナーシングホーム、デイサービス、タイの家屋訪問、国内最大規模の公立障害者ホームなどを見学できる。
今回、WCPT-AWP & PTAT CONGRESS 2017が6月27〜30日にタイで開催されることもあり、学会前に開催するので、学会参加者も参加していただきたい。
詳細、申し込みは以下より
http://www.zipangutravel.com/tour_medical.html
国際リハを学べる研修会
東京は、4月22日(土)13:00〜17:00に話しますので、興味のある方は是非!!(詳細はこちら)