以前、「岩田君、理学療法士の強みって何だと思う?」と岡西哲夫先生に聞かれたことがあった。「それは、"観察力"なんだと思うんだよ。」と穏やかな口調で療法士の強みを教えていただいた。岡西先生に「自分も若いときにいただいたPTジャーナル賞を今度は指導教員の立場で岩田君が最後にとってくれて嬉しい」と言ってくれたことが本当に嬉しかった。
本日、岡西哲夫先生の最終講義と退任記念祝賀会に参加させていただきました。
「臨床・教育・研究」の基礎を考える
ー幾多の出会いに感謝してー 岡西 哲夫 先生
学んだこと
① 先人達の軸となる哲学的思考。
② "筋力"というキーワードを43年間継続して勉強する姿勢(博士課程取得がなんと2011年)。
③ 臨床が根本、研究は基本、教育は医療の将来を担う人材を育てて未来をひらく。
臨床・研究・教育を経験した先生だからこそ心に響いた。
鎌倉矩子先生の”作業療法はおもしろい”を読んだときと似た感覚だ。
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講義の中で、2冊の本を紹介していた。
みすず書房
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生きがいは、試練を与えられたときに現場にこそ生まれる。周囲の人たちへ貢献したときに人は幸福になれる。
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教育とは一生にわたる過程であり、学生は大学時代にその一歩を 踏み出すにすぎない。
以前、博士課程の学位論文を先生からいただいた。改めて目を通すと、臨床疑問を継続して研究発表し、それを紙にする作業を繰り返していたことが分かる。60歳で博士課程に進学するエネルギーはどこからくるのだろうか。「僕は、クローズしません」と最後に言っていた一言が先生のこれまでを物語っていると感じた。
学位のための研究ではなく、日常の臨床の研究でなければならない。
研究の出発点は、病気や障害をもった具体的な患者(人間)でなくてはならない。
日常の臨床の中から研究する種を見つけ、そこから研究心を奮い起こして一般的法則に到達する。
(砂原茂一:ある医療・あるべき医療 臨床研究の手引きより引用 1976)
僕も”CVA” "排泄動作"のキーワードはこれからも研究の軸として持ち続けていきたい
。
岡西先生の偉大さを改めて知れた一日であった。